契り



今はただ、雪原のようなこの道を往く。

真白の闇を、足音のカラカラという音で引き裂いていく、その先へ。
薄明るい空、あの日もこの道を往ったと、秘めやかに哂う。

酷く、疲れたような感覚が、肩に、脚に、首に、腰に、絡みつく。
往ってはならぬ、戻って来いと誰かの声が聞こえた気がする。


戻るものか。
帰るものか。
この先には求めた何かがあるとわかっているのに。

導かれている。
呼ばれている。
この先の見知らぬ、懐かしい何か。

この狂おしいほどの胸の切なさが、今の原動力の総て。


カラカラと、白の河原を往く。
石は軽く、少し蹴り上げるとふうわりと浮くように感じる。

まるで、骨のように。

その粉塵が舞う白の河原を往く。
塵を吸ってしまわぬように、慰めに口を手で覆う。

その手を、ついと引かれた気がした。


交わした契りを、護る為に。
脚はそのまま、河を渡る。


ああ、君だ。
君の為だった。
そうだ、契りを交わしたのは。


交わした契りを、果たす為に。
脚はそのまま、河を渡る。


もう二度と離れないように、と。











10 もう二度と離れないように



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2008.04.11



ネタ切れしてきた感が……




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